ドット絵を描くのは面白い。
いや、ドット絵はあまり「描く」という感覚じゃない気がする。
どちらかというと彫刻みたいに「そぎ落とす」感じだろうか。
いや、彫刻やったことないから、わかんないけど。
鉛筆で絵を描く時、何も描かれていない白紙は無限の塊だ。
そこに、鉛を落とし込むことで少しずつ形が現れる。
とても自由度が高い。
頑張れば恐ろしいほどリアルに対象を描くことができる。
けれど、ドット絵というのは絶対にリアルのものに近づけることができない。
小さく一つ色を落としたくても、はっきりとした正四角形が画面に現れてしまう。
それがいい。
これは偽物なんだと、はっきり諦められるのがいい。
まず、諦める、その上で表現しようと、ドットを落とすのである。
潔い。
ドット絵は対象を真似たところでそれにはならない。
ドット絵を成り立たせるために必要なのは表現だ。
ドット絵では特に表現が主役になれる。
絵はカクカクとしか書けないが、そのおかげでカクカクはっきりと表現が現れる。
ドット絵は「選択」だ。
そこに四角の色落とすのか、落とさないのか。
どの色を落とすのか、落とさないのか。
鉛筆とかで描くように、その人の先の繊細さなど、技術などは無にされる。
身体性ではなく、人の選択、いわゆる思考がものとなる。
ある意味平等的だ。
ドット絵は面白い。
潔くものを作れる。
完成形も潔い。
少し寂しいほど潔い。
そうすると、やっぱり鉛筆でも絵を描きたくなる。
どっちもやりたい。