おちょこの形
最近、親がコップとか食器を祖父からもらってきていた。
その中におちょこがあった。
おちょこにも種類があるんですね。
その中で恐らく馬上杯、なんか下の部分が長いやつ。
せっかくなのでそれで、以前友達に買ってもらって封印してある日本酒を飲むことにしました。
改めておちょこは持ってみると不思議な感覚でした。
下に重心があるような。
その小ささもありとても不安定で、ついクイっと、ししおどしのように傾けたくなるような、そんな感じ。
そのおちょこを持っているだけで、なにか酔っているような感覚に襲われる。
なるほど、いかにもお酒に合う形をしているんだなぁと。
コップって普通、機能的に考えて、中に飲み物が入れられるようにと、それがこけて溢さないように安定した形をしている。
そういうコップばかり使ってきたから、おちょこで飲む感覚は新鮮で、美味しいというか楽しかった。
そういえば、ペットボトルのフタに飲み物を注いで、おちょこみたいに飲んでいたことを思い出した。
なんでそんなことしたのかというのは色々な要因があるのだろうけど、このドリンクをしっかりと「味わいたい」という想いがそうさせたのだと思う。
普通のコップやペットボトルで飲むと、飲み物がグワァっと一気に押し寄せてしまう。
水分を補給するという意味ではそれでいいのだが、「味わう」という意味では、せっかくの飲料が勢いよく口内を覆ってしまい、そしてその勢いのまま、すぐさま喉へと通り過ぎて行ってしまいます。
そうではなく、しっかり「舌」にまさしくクイッと載せて、そこからじわーっと舌に広がるのを楽しみたい。
もちろん、普通のコップでちびちび飲んでもそれは可能ですが、それだと格好がつかないというか、そこはやっぱり「クイっと」気持ち良くいきたい。
「気持ち良く味わう」というのを可能とするのが、おちょこのような形で、特に日本酒のような味わって飲むものに適しているのでしょう。
逆にビールのような飲み物は、味わうといより喉越しやその風味を楽しみたいので、ジョッキみたいな豪快なコップが合っているのか。
こうやって、一つ一つ食器を見ていくのも興味深いですね。
食というと、どうしても食べ物自体のことばかり考えてしまいますが、人と食べ物を繋ぐ食器やカトラリー、これらによっても大きく食というのを変えてしまいます。
もう少しこれらのことを考えても、それだけでいつもの食が楽しくなるのかもしれません。