入り口のない公園
前に「入り口のない公園」というのを考えたことがある。
公園は基本的に何かしら柵とかで囲まれていて、どこかに出入口があり、そこから公園に入ってその空間・遊具で遊び、そして時間になったらそこから出ていき帰っていくのである。
わざわざ書く必要がないくらい、当たり前のことである。
私は子供の頃、わざわざ出入口まで行くのが面倒になって、その囲いの柵を乗り越えて入ってしまうことがあった。
あんまり良いことではないんだろうけど、ただなんだろう、あの「柵をまたぐ」という行為は何か魅力的に感じる。
柵というのは言わば人がそこから入らないようにするための物だが、あえてその拒みを乗り越えるというのは面白い。
当たり前だが、出入口は人が出入りするために作られた物だから、人にとって出入りしやすいようになっていて、なんも考えずにスーッと出入りが可能である。
柵は違う。
むしろそれを防ぐ形をしている。
だから、それを無理やり出入り口にするためには、人がその柵に合わせて動きを変えないといけない。
少し油断すると、転んで怪我をする可能性だってある。
そんなことをうっすら頭に揺らぎながら、腕に力を入れ、足を地面から離すのである。
わざと出入り口を消すことで、逆にどこからでも入ることができるようにする。
そうすることで、どこから、どのように入るのか、考えさせられる。
普段ではしない動きと考えを要求し、人は能動的に公園にアプローチをかけることになる。
また、その公園の柵も、色んな形を用意すると面白いかもしれない。
その柵の形に合わせて、入り方を調整する。
何か挑戦状を投げつけられたみたいで、何かワクワクしてくるのは私だけなのだろうか。
そんな大したことないアイデアだが、実際あったらどんな感覚になるのだろう。
とても興味がある。
また、出入り口がないとなると、公園内は少し閉鎖的に感じるんじゃないかなぁ。
子供の秘密基地みたいな、何か特別な領域のような、その閉鎖的な空間が実は心地よいのではないだろうか。
あ、いっそのこと、高いフェンスで公園を全部囲んでしまって、人が完璧に入れない公園なんてどうだろうか。
人が遊ぶための公園なのに、人が入ることができない。
そんな公園をフェンス越しから眺めるのは、何か趣深さを感じる気がする。